今回は、2024年12月31日から2025年1月1日にかけて、広島県にある芸備線と木次線の落ち合う秘境駅 ”備後落合駅” に年越しで宿泊してきましたので、その体験記を残しておきたいと思います。
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そもそも備後落合駅とは?
広島県の山奥にポツンとある、備後落合駅。もともとは中国山地を山陽と山陰を繋ぐ交通の要所として1935年12月20日に開業しました。昔は急行までもやってきていましたが、今では普通(各駅停車)が芸備線では8本(新見方面が3本、備後庄原方面が5本)、木次線では3本しか運転されていません。
ちなみに芸備線の備後落合~東条間は100円稼ぐのに1万1700円ほどかかるJR西日本管轄一の赤字路線でもあります。
どうして備後落合駅に泊まろうと思ったの?
年越しでやっていたこと
2021年:首都圏年末年越し大回り乗車
2022年:首都圏年末年越し大回り乗車(2nd)
2023年:首都圏年末年越し最長大回り乗車(北小金→馬橋)
というように2021年からの3年間、首都圏において大回り乗車を行っていました。

流石に3年間同じルートを通るのは飽きてきたな……
今年はどうしようか……
特に大回り乗車が嫌いになったとかではないのですが、1年に1度しかない年越しなので、そろそろいつもとは違うことがしたいと思うようになりました。
そんな時に飛び込んできたのが青春18きっぷの自動改札機対応+連続日程化のお知らせでした。
今回の更新では値上げはされず、また廃止もされませんでしたが、いつ物価上昇の波に呑まれて値上げされるか、最悪の場合無くなるかもしれない……
2021年からそれぞれ錦糸町駅、千葉駅、戸田駅で年越しするうちに、YouTuberの西園寺さんが秘境駅「備後落合駅」に泊まっているのを見て、いつかはやってみたい!と思っていました。
青春18きっぷ(5日間用)が12,050円、新設された(3日間用)が10,000円で、東京→備後落合の片道乗車券が11,550円になりますので、どちらを購入しても行くだけで元を取ったも同然です。

これは行くしかないでしょ!
というわけで急遽決まった備後落合旅行。今一度、西園寺さんの動画や、インターネット上にある駅で泊まる際の注意事項などを調べてから向かいました。
いざ、備後落合駅へ!

とにかく利用者が少ないので、備後落合行きの終電は新見駅を18:20分に発車します。
新見駅2番線で待っていたのは、キハ120系357(浜田色)でした。
この編成は、芸備線内の脱線事故により当該車両はその場で廃車解体となり、その埋め合わせとして派遣されてきた車両です。そのため岡山車両センター所属で浜田色のキハ120系は1編成しかないらしく、運用範囲も広いため乗るのが難しいそうです。ちなみに内装はほかの更新車と違いはありません。
本日の利用客は私とおばあさんとお子様連れのご家族の計3組で、おばあさんは市岡駅で、ご家族は東城駅で下車されました。こうして地元住民が利用している姿をみると、どうか芸備線を存続してほしいと思いました。
運行情報
種別:普通 列車番号:445D 新見 18:20発→備後落合 19:46着
遂に到着!備後落合駅!

19:46分、列車は時刻通りに備後落合駅に到着!
外気温は-2℃となっており、先日降った雪がまだ残っていました。
今までの列車内の暖気はどこへらやら。一気に身体が冷えていきます。

こちらは備後落合駅ホーム(1番線)から撮影した駅舎です。まだ12月31日のはずですが、既に2025年1月1日に変更されていました。ここで訪問の記念にしっかりと写真撮影を行いました。
駅舎の中はこのように一面資料が飾られていました。いつしか廃線の議論が巻き起こり始めたころ、備後落合駅徒歩30秒のお家に住む、旧国鉄のおじいさんがどうにか廃線を回避しようと企業などに頼み込んで資料を集めてきたと仰っていました。

もちろん秘境駅ならではの駅ノート、駅スタンプもありました!
まだまだ一人鉄道旅初心者なので、駅スタンプは北越急行の美佐島駅のスタンプに続いて人生2つ目だったりします。
駅ノートはNo.10!始発までの長い待ち時間を利用して全巻制覇するのもいいかもしれませんね!
備後落合駅で電波は繋がるの???
ちなみにですが、現代人の命の生命線 ”インターネット” はなんと繋がります!
※芸備線乗車中は何か所か繋がらない箇所がありました。
au回線 povo2.0 接続OK!!
docomo回線 AEON Mobile 接続OK!!
docomo回線 linksmate 接続OK!!
Rakuten回線 Rakuten Mobile 接続OK!!
大手4社の回線のうちソフトバンク回線以外は持っていますので検証してきましたが、どのキャリアでも問題なく繋がりました!なので恐らくソフトバンク回線も繋がると思います!

一応山奥ですので、夏だと熊なども出てもおかしくないと思います。
すぐに助けが呼べる環境なのは安心ですね!
終電を逃す……(意図的)
一応新見発の終電で来ても20分程備後落合駅に滞在することができます。
明日の天気予報は晴れ。家にあるありったけの防寒具を持ち突撃してきまして、実際降り立っても手や顔などの露出している部分以外は暖かかったので行けると判断。最悪無理と判断したら、このまま終電で折り返すつもりでした。ちなみにこの終電に乗ると最長で米子まで降りることができ、1泊2000円程度の格安宿が沢山あるようです。
(ちなみにですが、年末は新見駅周辺の宿はすべて休業しており、米子まで降りるしかないようです)

20:10分。備後落合駅の終電となる芸備線普通新見行きが発車していきます。
発車前、本当に乗らないのか!?!?と運転席からひょっこり顔を出して、発車笛と共に乗降完了を確認していました。
ちなみに他の方によると最寄りの自販機は数キロ先。
最寄りの宿も徒歩2時間。しかも勿論年末年始期間は休業です。
もう後戻りはできません。始発は6:41分発になりますので、次の電車は約11時間後となります。
ホームに立っていても寒いだけなので、とりあえず駅舎に戻ることとします。
備後落合駅の設備紹介
さてさて遂に終電も行ってしまいましたので、備後落合駅が宿泊施設としてどれほど素晴らしいかどうかを紹介していきたいと思います。
Point1:経験したことのないほどの静けさ。
これまた当たり前ですが、周りに人がいませんので本当に無音です。
深夜でも構わずブリブリ走行するトラックとも、爆音で吹かしながら暴走するバイク集団ともおさらばです。
Point2:快適?な就寝環境。風よけ駅舎にクソ長ベンチ。

記事作成時点でベンチの写真を撮っていないことに気づき、唯一写っていたのがこれで半分しか写っていませんが、私のリュックが置いてあるベンチ。手前のベンチは肘掛けがあり寝るのは厳しいですが、奥のベンチであればフラットなので容易く寝転がることができます。
トイレは駅舎外に併設されており、男女別、キンキンに冷えた水道付きです。
ちなみに駅舎内には温度計が標準装備されているのですが、5℃を示していました。
意外と暖かいですね。もちろん冷暖房器具はありません。

ちなみにですが、宿泊先候補としてもう一つありまして、それはこの画像赤丸で囲われたホーム上にある待合室です。
一度ここで寝ようかと検討しましたが、駅舎内のベンチよりも幅が狭いのと、駅舎内よりも寒かったので、寝泊りするのであればここはあまり適さないと思います。
遂に消灯の時が……
それは持ってきた食事が終わり、トイレから帰ってきた時でした。駅舎のドアを開けようとした時、

あれ?こんなに駅舎暗かったっけ!?
それと同時にホームから駅舎の順に消灯。さらに新月+雲が重なり、あたりは暗闇に包まれます。よく見ると空からは先ほどまで降っていなかった雪がちらほら。

雪が降るなんて予報なかったじゃん!
木次線、運休にならないといいな……
翌日乗る予定の木次線は毎年、ほぼ利用客がいないため除雪して運行しても仕方がないので、備後落合~出雲横田間で “冬眠” に入ります。実際今年のクリスマス頃も1度運休しており、なんとか復活したところでした。芸備線はあまり運休しないので帰れない事態にはなりませんが、木次線は少し雪が積もると運休になります。
ちなみに消灯時刻は21:19分。事前に聞いていた情報よりもとても早かったです。
担当駅員さんも年末は早く帰りたかったのかな……?
いざ電気が消えると静けさは一層際立ち、スマホの灯り無しでは生活できません。駅舎の外に出ても街灯すらありません。
しばらくは駅ノートを見たりYouTubeを見たり友人と電話したりしていましたが、やはり明かりがないとやれることがあまりないので寝ることにしました。
就寝
先ほどの長いベンチに横になるのですが、意外と幅があって寝やすいです。普段では「肩幅広めだよね~」と言われる私でも肩が落ちることはありませんでした。多くの方は幅については問題ないかと思われます。
そして、自分のリュックを枕にして寝始めたのですが、やっぱり寒い!
寝ようとすると寒気が襲ってきます。
ここで念のため大量に持参してきた貼るカイロ、貼らないカイロ、足のカイロたちをフル装備。普段冷え性でもなんでもないのですが、特に足先が寒かったので、足先のカイロは必須だと思います。
これで寒さはどうにかなりました。そして眠りについたのですが……
寝返りはさすがに打てないのでやはりたくさん目覚めました。
これは駅寝という性質上想定内で、仕方のないことですね……。
23:30に途中で起きてからは、年越しに備えるため、男1人、山奥の駅でホロライブゆく年くる年を垂れ流しながら過ごしました。

この写真は年越しした瞬間の写真です。この時点で最低気温は-3℃となっていました。
起床
年越し後はさっさと就寝し、翌日朝6:00分。アラームと共に起床しました。まだ電気はついていませんでした。しかし、そろそろ朝ごはんを食べたり荷物をまとめたりを始めないと、6:41分の始発に間に合いません。
それからすぐの6:03分。ついに電気がつきました!始発までは残り38分です。これもほかの人ではもっと早く点いていたので、もしかしたら経費削減の為にギリギリまで削っているのでしょうか……。

そして6:30分になると、接近放送とともに先に三次行きの列車が到着。
待ちに待った迎えが来ました!
俺はこんなところで何をやっているのか?という虚無感と共に、ほんとに耐え抜けたという達成感が凄かったです。
そのすぐあとに1日1本の快速備後落合行きが到着しました。(なぜか2両一緒に撮影していなかったので結合してます……)
今後の日程は、木次線の始発は9:20発で発車まで時間があるので、1度左側に停車中の三次行きに乗車し、備後庄原駅で接続の折り返し列車でまた備後落合に戻ってくることにします。
再び備後落合へ
8:14分。再び備後落合に戻ってくると、駅には3組ほどのお客さんとおじいさんがいらっしゃいました。おじいさんは旧国鉄の職員(伯備線を走ったことがあるような口調だったので機関士だったのかな?)だったそうです。現在は退職され、備後落合駅もとい芸備線と木次線を守るために活動していらっしゃいます。先ほども1度触れましたが、駅の壁に飾られている資料たちはどれもこの方が集めてきたものだそうです。当時の備後落合駅がまだ栄えていた時代の貴重なデータを沢山拝見することができました。また驚いたのがこちらのジオラマ。

当時の備後落合駅を再現したものだそうです。この模型を用いて、当時の様子を詳細に解説してくださいました。机の上に置いてあるものは記念品で、販売もされています。私は右上に掲示されている備後落合駅の名前と芸備線、木次線の路線図の入った手ぬぐい(1300円)を購入させていただきました。
また、JR西日本が儲からないからとかで(そりゃそうですよね……)自販機を置かないため、観光客に文句言われたとかで、ほかにもお茶や甘酒の販売、また湯沸かし器を持参してきて、「よかったら飲んでいってください」とのことだったので、コーヒーを1杯いただきました。
非常に貴重な体験ができましたので、もしおじいさんがいらっしゃるようでしたら、耳を傾けてみてください。
次なる旅は木次線へ……

木次線については、また別の機会にお話ししたいと思います。
まとめ
今回は2024~2025年年越し備後落合旅行を敢行いたしましたが、
備後落合での駅寝は、おすすめしません!!!(笑)
しかし、駅寝はおすすめしないだけで、昔の国鉄の考え方や現代のJRとの違い、また芸備線や木次線との、山陽と山陰の交通の歴史の繋がりを知る良いきっかけとなりましたので、
訪れることは非常に良い経験になる!
と思います。是非みなさんは “日帰りで” 楽しい備後落合旅行をお過ごしください。
最後に、このサイトを見てもなお備後落合に駅寝したい!という逸般人のみなさま。
1:駅寝の注意事項は守ること。(終電まで寝ない。始発までに起き、荷物もまとめる。火気厳禁など)
2:モバイルバッテリーの持参。駅にコンセントありましたが、窃盗罪になりますので携帯電話の充電器は持参しましょう。
3:防寒、暑さ対策は入念に。冷暖房はもちろん、自販機すらありませんので、十分に持ち物を検討しましょう。
基本的な注意事項を守り、駅寝ライフをともに満喫しましょう!
さいごに(筆者からのお願い)
はじめまして。筆者、そしてサイト管理者の翠優一輝と申します。本日、この記事を初投稿といたしまして、この「翠優一輝の源泉」はスタートを切りました。
まだまだ未熟ですが、これからも末永くよろしくお願い致します。
この度は、当サイトをご覧いただき、ありがとうございました。
この記事を読んで、少しでも読者の方にこの記事を読んで良かったと思っていただけていれば本望でございます。そんなあなたに筆者からお願いです。
当サイトでは、私の記事に人生という貴重な時間の一部を割いていただけていることに感謝し、できるだけ多くの方に、わかりやすく、正確な情報をお届けしたいと考えております。
記事作成時にはできるだけ信頼できる企業等でかつ複数記事を参照して一定以上の正確性の担保、及び公開前に読み直し、加筆修正を行っておりますが、私一人での校正には限界があります。
そこで、情報の誤りやその他細かなことでも歓迎しておりますので、読者の皆様方がお気づきな点がございましたら、お気軽にお問合せページにご連絡いただけると幸いです。
この度は当記事をご覧くださいまして、ありがとうございました。
2025年3月10日 12:30分 翠優一輝
以下更新履歴
投稿No.001 /travel/bingo-ochiai-overnight
2025年 3月10日 12:30分 投稿
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